養老保険は生死混合保険ですので、死亡保障と満期受取という2つの側面があります。保険期間は契約時に定まっており、期間中に保険事故が起きた場合は保険金を、生存していた場合は満期保険金を支払います。生死いずれの場合でも保険金が支払われますので、定期保険の「掛け捨て」とは対照的です。しかしながら、必ず保険金を受け取れること、契約によっては配当が付くことなどから、利回りを考慮した貯蓄として利用される場合もあります。むしろ、そのような場合の方が加入動機としては多いのかも知れません。養老保険はその性質上、定期保険や終身保険と比較して保険料はかなり割高になります。バブル期には、一時払いの5年型養老保険が販売されていました。ほぼ完全に利殖目的であったと言えます。
養老保険は結果として生存した場合の満期保険金を受け取る場合が多いため、受取人を誰にするかで適用される税が変わってきます。契約者=受取人の場合は一時所得となります。契約者≠受取人の場合、贈与税の対象となります。また、養老保険には更新という考え方はありません。
具体的に見てみましょう。
① へそくりが貯まった40代主婦の場合
ご自身がパートで稼いだお金や、家計をやりくりして出来たへそくりがかなり貯まってきました。うまく運用したいけれど、預貯金ではたいした利息にならず、と言ってリスクを取ってしまうと元本割れが怖い。そのような時は養老保険です。期間は10年と預貯金よりは長くなりますが、積み立てのような感覚で毎月払っていけば満期時にまとまったお金が受け取れますし、配当もつきます。途中でお金が必要になった場合、契約者貸付で間に合うかも知れません。契約者貸付は解約返戻金額の範囲で行われるので、保障に条件が付くことはありません。貸付なので返済は必要ですが、返済できなかった場合でも満期保険金から差し引かれますので、強制的に取り立てられることもありません。
② 定年まで10年となった50代のご夫婦
60歳の定年まで残すところあと10年となったご夫婦、60歳からは再雇用の可能性もありますが当然、給与は下がりますし、年金の受給(65歳)までにはさらにあと5年あります。この5年分の費用を積み立てる意味で、養老保険はいかがでしょうか。保険期間10年の養老保険に加入し、その間保険料を支払い続ければ、60歳になった時点で存命ならば満期保険金が受け取れます。その保険金を5分割し、年金として取り崩して行けば生活設計のめどが立ちます。10年間で万が一のことがあれば、保険金が遺族に残せますし、満期を迎えられれば生活保障の糧も得られます。
③ がんばって貯めたい20代のOL
入社して数年、給与も少し上がって少し余裕も出てきました。と言って、すぐに結婚の予定があるわけではなく、無駄にお金と使ってしまうのももったいない。株やFXを手がけている友人はいるけれど、リスクのある商品で元本割れするのは少し怖い。そんな利殖目的には、養老保険です。加入年齢が早いので、保険料は低く抑えられます。保障という意味合いよりも積み立てのような感覚で始められると思います。10年後にはがんばったご褒美に、満期の保険金+配当が受け取れるはずです。
④ お子さんがまだ小さい30代のご夫婦
初めてのお子さんが生まれ、育児に忙しくなってきました。将来の教育費を貯めるためにも学資保険を検討していますが、もう少し融通の利く保険として養老保険があります。実は学資保険も養老保険の一種ですが、生存保険金は定まった年齢の時だけに支払われますので、あまり使い勝手は良くありません。養老保険ならばもう少し柔軟な設計が出来ますので、保険期間と保険金額を検討して無理のない加入が出来ます。
⑤ まだまだがんばる60代のご夫婦
初孫の誕生に顔をほころばせ、この子たちに何か残してやりたい。といって現金では贈与税の対象になりますし、ちょっと生々しすぎる。そのようなケースでは養老保険を検討してください。保険期間中に万が一のことがあればもちろん保障として機能しますし、満期時に受け取れる保険金で何か考えるのもありです。まとまったお金ですので、孫に残すだけでなく一部をご自身の保障に役立てることも出来ます。ただし、受取人はあくまでもご自身にしないと税法上不利になりますのでご注意ください。
養老保険は、どちらかと言えば満期時の保険金受取を目的として加入する場合が多く、まとまった額を手にすることが出来ますので、積み立てとしての側面もあります。特約を付けてしまうと利回りは下がりますが、保障としても満足感を得たいのならば、養老保険はぴったりの商品です。