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医療保険の一般的なモデルと最近のトレンド

病気で入院すると、人生における様々なことが不安定になってきます。そんな時に、医療保険に加入しておくことで、「もしかしたら重い病気にかかるかもしれない」リスクを軽減することができます。重い病気やケガのリスクは操作できませんが、そこに金銭的保障を割り当てることで、損失を出来る限り小さくすることができます。

医療保険の一般的なモデルについて

さて、こうした一般論だけでは、具体的イメージは湧いてこないと思います。そこで、今回は、医療保険における人気商品O生命の終身タイプの医療保険を例にとって、医療保険の仕組みについて解説していきたいと思います。

まず、医療保険に限らず、保険は、主契約と特約からなります。この主契約部分が、保険にとっては本体です。そして、本体ではまかないきれない部分の保障に関しては、特約を追加することで、カバーします。

この保険では主契約は、①入院給付金だけです。
この入院給付金というものは、病気や事故を直接の原因として入院した時に、日額×入院日数分支払われます。例えば、入院日額10,000円、入院日数13日という支払事由に対しては、10,000×13=130,000円支払われます。
この入院日数については、60日まで支払われるか、120日まで支払われるかの2タイプから選びます。また、この商品が定める七大生活習慣病のときには、入院日数が伸びるという特典(?)もあります。

ここで、疑問に思う方もいらっしゃると思います。これで足りるの? と。はい、そういう方のために、この保険商品では、様々な特約が用意されています。
まず、手術特約ですが、これは手術を受けた際に ②手術給付金が支払われます。また、先進医療という厚生労働省が指定する、特定の施設で行われる、特定の治療法を利用した時に、実費負担をしてくれる ③先進医療給付金があります。この二つは、近年の医療保険では外せない保障となっています。

ここに、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)の治療時に一時金が支払われるという特約を付加することができます。三大疾病は、重篤なものが多く、入院日数・治療内容ともにハードな内容になる場合が多いため、治療開始時に一時金として支払ってもらうことで安心することができます。

さらに、この保険ではがん診断治療給付金特約・がん通院特約といった「実質的にはがん保険」を特約で付加することが可能です。

最近の医療保険の基本のカタチというのは、①、②、③の基本的な保障と、その他の特約をプラスするかどうかを選ぶカタチが医療保険の基本タイプと言えるでしょう。そして、この保険がそうであるように終身掛け捨てタイプという考え方が基本です。契約時の年齢に対応する、決められた保険料を払い続けることで、①、②、③の保障を一生涯受け続ける。もし途中で解約しても、払い戻しはない。これが医療保険の基本的なカタチになります。たぶん、どの医療保険でもこの部分はよく似ている(あるいはほぼ同じ)はずです。

医療保険の基本を比較する場合のポイント

いくつかの医療保険を比較する場合、基本のカタチの、①、②、③を同等の条件で比較してみる必要があります。

  • ①入院給付金
  • ②手術給付金
  • ③先進医療給付金

最初に ①入院給付金 について考えて見ましょう。

入院給付金は「入院日額」と「支払限度日数」によって支払われます。
「入院日額」は、5,000円、10,000円など、ある程度自由に設定できます。
「支払限度日数」は、60日、120日、180日などから選びます。

保険の広告で「○歳男性 入院日額5,000円が月々○○○円!」などと極端に安い場合は、支払限度日数が 30日だったりしますので確認してみましょう。

次に ②手術給付金 ですが、

これは所定の手術を受けた場合の給付金で、入院日額の20倍、または10万円、20万円などというように支払われます。

そして ③先進医療給付金 は、

先進医療という厚生労働省が指定する特定の治療法を利用した時に、実費負担をしてくれるというのが一般的です。

医療保険のトレンドについて

近年の医療保険には、トレンドがあります。そのトレンドは、医療を取り巻く変化、もっと大きな言い方をすれば、社会を取り巻く変化であると考えることができます。その最大のトレンドは、入院期間がどんどん短くなってきている、ということです。

身近に、大病をされたはずなのに、もう病院から出てきた、という方はいませんか。あるいは、結構大変そうな病気に見えるのに、入院なしで、治療を終えてしまった、という方はいませんか。そうです。確かに入院期間は短縮されており、さらに、たとえば、ガンなどでは、放射線治療と抗癌剤治療による外来だけで治療を終える方もいます。

このトレンドから、長期の入院を前提とした保険商品はやや人気が陰ってきている、と言うことができるでしょう。そして、通院の保障がある医療保険が目立つようになってきている、という変化にもつながっています。特に、がん保険では、通院保障が標準的なものになりつつありますね。

医療保険だけではないのですが、保険全体のトレンドとして、近年では保険ショップを利用される方が多くなっています。会社にやってきたセールスレディから保険を購入するとことから、自分から保険ショップに来店するという方向へ購買行動が変化してきたということです。

これは、保険の内容にどう影響するのか? 関係ないんじゃないの? と考える人もいるかもしれません。しかし、旧来の生保レディが勧めていた商品と、保険ショップで勧められる商品はかなり性質が異なります。旧来の国内生保のセールスレディが勧めてきた商品は、主契約に様々な特約が紐づき、一言で言うとどんな保険商品なのかがわかりにくい保険が横行していました。従って、比較的若い世代で、死亡保障を必要とする特段の理由もない人に、そこそこ大きな死亡保障がついた商品が勧められるということがたくさんありました。結果として高い保険料を支払うことになります。

今、保険ショップに行くと、このような形での保険の販売が行われることは極めて少なくなりました。まず、その年代に合わせただいたいの保障モデル「独身者であれば、医療中心」といったようなモデルがあり、そこに、顧客の要望を合わせて、いくつかの保険商品を主契約としてブロックを積み重ねていくような形で構成します。過去なら、保証パッケージの中で特約として存在していた医療保障が、医療保険、という単独の主契約で提供されることが多くなっています。こうして、必要最低限の保障を積み上げていくことで、保険料を低く抑える、これが、現代の保険販売のトレンドです。若年者で、医療保険やガン保険にだけ加入されている方が増えているのは、こういった背景があります。もちろん、これらは主契約ですので、結婚されるなどして保障を大きくしたい時には、既にある契約を解約する必要なく、その上に、死亡保障を積む、ということができます。